X-ALIVEがアミューズメント施設に親子連れを呼ぶその導入効果
スマホや家庭用ゲーム機の普及、少子化、消費税増税などアミューズメント施設運営をとりまく環境はとても厳しい状況が続いている。そのような中、メディアフロント・ジャパンのプロジェクション技術「X-ALIVE」がイオンモール日の出内のアミューズメント施設「ユーズランド」に導入され、2016年4月23日よりオープンとなり人気を呼んでいる。休日など多い日は1日で100組を超える親子連れで賑わう。
X-ALIVEとは塗り絵のお魚をスキャンすると3D化して大きなスクリーンの海を泳ぎまわるという不思議で楽しい驚きのある親子づれに人気のプログラムであり、ユーズランドでは「クレヨンアクアリウム」という名称で親しまれている。
「クレヨンアクアリウム」は塗り絵の魚が3D化してスクリーンを泳ぎ回る他、ARシステムで子どもたちをサメやカニに変身させてディスプレイに映し出しキネクトセンサーで体の動きに合わせた動作をさせるなど、デジタルとアナログの融合を子どもたちが全身を使って体験できるインタラクティブなアトラクションとなっている。
アミューズメント施設というと10代後半~30代のユーザーがコインでゲーム機器を楽しむ場という印象が強く、このようなアトラクションが入るのは全国的にみても新しい試みといえるのではないだろうか。このX-ALIVEがアミューズメント施設に貢献できるポイントを検証してみたいと思う。
導入効果その1
“そこにしかないもの”として
アミューズメント施設へ足を運ぶ理由をつくる
かつてアミューズメント施設のゲーム画面の中の美しくスムースな動きのモーショングラフィックやアクションは「そこにしかないもの」として小遣いをはたいてでも訪れる価値のあるものだった。
しかしながら昨今のスマホや家庭用ゲームの普及やその技術の向上によりそれらは「そこにしかないもの」ではなくなっている。
一方、クレヨンアクアリウムで展開されているX-ALIVEは大きなスクリーンを活かしてダイナミックにアナログとデジタルが融合している点、さらには全身を動かすしかけや参加者同士のかかわりなどスマホや家庭用ゲームに求めることが難しい「そこにしかないもの」「そこに行かなければ体験できないもの」という要素を提供することができる。つまり「アミューズメント施設へ行く」理由やきっかけをつくる体験型アトラクションとしての役割を果たしている。
導入効果その2
アミューズメント施設の新しい未来像を描く
10代後半~30代のユーザーがコインでゲーム機器を楽しむ場という印象が強いアミューズメント施設。しかし今回のケースのようなショッピングモールにおける常設アミューズメント施設であるならば、本来はショッピングモールに足を運ぶすべての人を集客したいところ。
最近ではアミューズメント施設にマッサージチェアや血圧計を設置してシニア層に足を運んでもらう試みなども聞かれるが、クレヨンアクアリウムで期待できるのは親子づれや祖父母と孫の組み合わせの集客であり、事実たくさんの親子連れを呼んでいる。
こうした層が施設を出入りすることで明るさや健やかさがアップし、これまであまり足を運ぶことのなかった主婦や小学生以下の子どもたち、シニア層が継続的に足を運ぶ場として、アミューズメント施設が地域コミュニティと化する、そのような未来像を描くこともできる。
そうなれば継続利用がコミュニティを生み、コミュニティが継続利用を生むという利用者にも運営者にもうれしい循環ができ、アミューズメント施設はこれまでにはなかった形で盛況を見せることになるだろう。
導入効果その3
常設店ゆえの飽きさせない施策
コンテンツ変更でリピート利用を促進することも
常設のアミューズメント施設は近隣在住の人々がリピートして訪れる場であるため「飽きさせない工夫」が強く求められる。いつ来ても同じゲーム、同じアトラクションでは日に日に足は遠のいてしまう。
X-ALIVEは大型のスクリーンとプロジェクターというとてもシンプルなハードウェア構成で成り立つが、そこで展開できるコンテンツにはさまざまな広がりがある。
<X-ALIVE システム基本構成>
X-ALIVEは魚バージョン以外にも描いた恐竜がスクリーンの世界を動き回るX-ALIVE THE DINOSAURや、タッチテーブル上でお絵かきしたキャラクターが宇宙を遊泳するX-ALIVE THE SPACEなど、テーマの違う応用アトラクションも存在する。X-ALIVE THE DINOSAURは長崎ハウステンボスでは「みんなの恐竜」名で常設アトラクションとして導入されている。
ハウステンボス みんなの恐竜
X-ALIVE THE SPACE
例えば、期間限定でコンテンツを入れ替えたり、同時に2つ以上のコンテンツを導入して日々入れ替えてみたりといった導入方法も検討することができ、常設アミューズメント施設の課題であるリピーターを飽きさせない施策にも対応することができる。
アミューズメント施設へのアトラクション提供はメディアフロント・ジャパンとしても今回が初ケース。今後もアミューズメント施設の幅広いユーザー層の集客と新しい方向への発展に貢献していきたいと考えている。